ハウテレビジョン技術ブログ

『外資就活ドットコム』『外資就活ネクスト』『mond』を開発している株式会社ハウテレビジョンの技術ブログです。

「共創型開発」への挑戦

はじめに

私たちの開発チームは今、新たな挑戦を始めています。それは「共創型開発」という開発スタイルの実現です。これは単なる開発手法の変更ではなく、プロダクト開発に関わる全員の意識とスタンスをさらに高める、チームの進化と言えるものです。

共創型開発とは何か

共創型開発とは、Bizサイドとエンジニアが対等な立場で、プロダクトの課題や価値について議論し、解決策を共に生み出していく開発スタイルです。

ただし、これは「エンジニアが0→1でプロダクトのアイデアを生み出す」ことを期待するものではありません。エンジニアに求めるのは、ビジネスサイドが持つプロダクトビジョンに対して、技術的な知見とユーザー視点を持って積極的に関与し、より良い解決策を共に作り上げていく姿勢です。

実は私たちのチームには、以前から「ユーザーファースト」というキーワードが根付いていました。ユーザーにとって本当に価値あるプロダクトを作りたい。その思いは、チーム全体で共有されていました。「ユーザーファースト」というのは、弊社で掲げている行動指針に5Valueというものがあり、そのうちの1つで、エンジニア組織以外にもハウテレビジョンにおいて大切にしている行動指針の1つです。

そして、この「ユーザーファースト」を実現する過程で、自然と共創型開発のような働き方を実践しているメンバーやチームも生まれていました。Bizとエンジニアが壁を越えて議論し、共にプロダクトを作り上げる。そんな場面が、少しずつ増えていったのです。

しかし、正直に言えば、私たちはまだ道半ばです。

個人やチームごとに成熟度にばらつきがあり、組織全体で共創型開発ができているとは言えない状態です。ある場面では活発な議論が生まれる一方で、別の場面では「Bizが要件を決め、エンジニアがそれを実装する」という従来型の役割分担に留まってしまうこともあります。

私たちに必要なのは、一人一人がもう一段階高い視座を持って取り組むことです。「これくらいでいいか」ではなく、「本当にユーザーのためになるか」「もっと良い方法はないか」と問い続ける姿勢。それを全員が持つことで、チーム全体のレベルが底上げされていきます。

3つのオーナーシップとチームの目指す姿

共創型開発を実現するために、私たちは「オーナーシップ」という概念を3つのレイヤーで整理しました。それぞれのレイヤーで、チームとして目指すレベルを明確に定義しています。

参考:https://nekogata.hatenablog.com/entry/2025/09/22/094637

1. システムへのオーナーシップ(目標:レベル3)

最も基礎となるのが、システムへのオーナーシップです。これは技術的な責任範囲をどこまで持つかを示します。

レベル1:受動的関与

自分が書いたコードの不具合は責任を持って直す。割り当てられたタスクは確実に完遂する。これは最低限の責任範囲です。

レベル2:能動的関与

他人が起こした障害でも調査に参加する。チームメンバーの技術的な困りごとを積極的に支援する。「自分の担当じゃないから」という壁を越えて行動します。

レベル3:予防的関与(目標レベル)

システム全体の健全性を監視し、問題を未然に防ぐ。技術的負債の解消を自主的に提案・実行する。問題が起きる前に動ける状態です。

私たちが目指すのはレベル3です。自分が直接関わっていない障害でも積極的に調査に参加し、システム全体の品質に責任を持つ。そんなエンジニアチームを作ります。

2. プロダクトへのオーナーシップ(目標:レベル2)

次のレイヤーが、プロダクトへのオーナーシップです。これはユーザー価値に対する責任範囲を示します。

レベル1:ユーザー体験への関心

ユーザーがどう使うかを想像して意見を述べる。使いにくそうな点を指摘できる。「この機能は本当に必要?」と疑問を投げかける。ユーザー視点を持つことの第一歩です。

レベル2:課題解決への参画(目標レベル)

ユーザーの本質的な課題を理解して代替案を提案する。機能の優先順位について意見を持つ。ユーザーフィードバックを積極的に収集・分析する。単なる指摘から、具体的な提案へと踏み込みます。

レベル3:プロダクト方向性への貢献

ターゲットユーザーの定義に参加する。競合プロダクトとの差別化ポイントを提案する。プロダクトロードマップの策定に関与する。ユーザーインタビューや市場調査に参加する。これは新規事業や新機能追加の際に発揮される領域です。

私たちが目指すのはレベル2です。ユーザー課題を深く理解し、より良い仕様を提案できる。Bizサイドと対等に議論し、共に解決策を生み出せるエンジニアを育てます。

3. ビジネスへのオーナーシップ(目標:レベル1)

最上位のレイヤーが、ビジネスへのオーナーシップです。これは事業的責任の範囲を示します。

レベル1:コスト意識(目標レベル)

開発工数とビジネス価値のバランスを考慮する。リリース期日を守るためのスコープ調整を提案する。理想論だけでなく、現実的な制約を踏まえた提案ができる状態です。

レベル2:事業指標への貢献(リーダー向け)

KPIを理解し、それに貢献する開発優先順位を提案する。ROIを考慮した技術選定を行う。チームリーダーやテックリードに期待される視点です。

レベル3:事業戦略への参画

複数プロジェクト間のリソース配分を提案する。技術投資の中長期計画を策定する。新規事業の技術的実現可能性を評価する。経営に近い視点での判断が求められる領域です。

私たちが目指すのはレベル1です。コストや期日を考慮し、現実的な解決策を提案できる。ビジネスの制約を理解した上で、最適なバランスを見出せるエンジニアを育てます。

なぜこの3段階なのか

「システム→プロダクト→ビジネス」という順序には、明確な理由があります。

最も獲得しやすいのは「システムへのオーナーシップ」です。エンジニアにとって最も身近な技術領域から始めることで、心理的ハードルが低く、成功体験を積みやすくなります。

困っている人を助ける、障害調査に協力する。そんな小さな「口出し・手出し」から始めて、チーム内で信頼関係を築きます。この信頼関係こそが、より上位のオーナーシップを獲得するための土台となるのです。

システムへのオーナーシップで信頼を得たエンジニアは、プロダクトの議論にも自然と参加しやすくなります。「この人の意見なら聞いてみよう」という空気が生まれるからです。

そしてプロダクトへの深い理解と貢献実績があれば、ビジネス視点での提案も受け入れられやすくなります。段階的に信頼と影響範囲を広げていく。それが現実的なアプローチだと私たちは考えています。

これからの取り組み

だからこそ私たちは、改めて「共創型開発」をチームの明確な目標として据えることにしました。

これまで雰囲気として存在していたものを、3つのオーナーシップという形で明文化し、共通言語にする。そして全員でこの目標に向かって進んでいく。それが、真の意味での共創型開発の実現につながると考えています。

具体的には以下のような取り組みを進めていきます。

システムへのオーナーシップを全員で高める

まずは最も取り組みやすいシステムへのオーナーシップから。障害対応や技術的な困りごとに、チーム全体で協力する文化を強化します。「自分の担当じゃない」という壁をなくし、システム全体に責任を持つマインドセットを育てます。

プロダクト議論への参加機会を増やす

仕様検討の初期段階からエンジニアが参加できる場を意図的に作ります。ユーザーフィードバックの共有会や、プロダクトの課題を議論する定例会など、エンジニアがユーザー価値について考え、発言できる機会を増やしていきます。

ビジネス制約への理解を深める

開発スケジュールやビジネス上の制約について、Bizサイドとエンジニアが情報を共有する場を作ります。なぜこの期日なのか、なぜこの優先順位なのか。その背景を理解することで、より現実的な提案ができるようになります。

成功体験を共有し、学び合う

オーナーシップを発揮して生まれた良い成果を、チーム全体で共有します。「こんな提案が受け入れられた」「こんな議論ができた」という事例を積み重ねることで、全員の行動変容を促します。

構造的な限界を認めつつ、前へ

私たちは、現実を直視しています。組織が完全に硬直化していたり、構造的な問題が深刻な場合、段階的なアプローチにも限界があることは理解しています。

しかし同時に、私たちの組織にはまだ可能性があると信じています。「ユーザーファースト」という共通の価値観が根付き、一部のメンバーやチームは既に共創の萌芽を見せている。この土壌があるからこそ、段階的なアプローチで改善できると考えています。

終わりに

共創型開発は、一朝一夕には実現できません。時には戸惑いや試行錯誤もあるでしょう。

しかし、3つのオーナーシップという明確な指針を持つことで、私たちは一人一人が今日からできることを見つけられます。まずはシステムへのオーナーシップから。小さな一歩を積み重ねて、信頼関係を築いていく。

Bizもエンジニアも、それぞれの専門性を持ち寄り、対等な立場で議論する。そして共にプロダクトを育てていく。そんな開発チームへの進化を、私たちは目指しています。

この挑戦が、どのような成果を生み出していくのか。私たち自身も楽しみにしながら、一歩ずつ前に進んでいきます。

最後に、今回ご紹介した開発チームの「共創型開発」に共感いただけるエンジニアの方がいらっしゃいましたら、ぜひ私たちのチームにジョインしませんか?弊社では、一緒にプロダクト・技術的な課題に取り組んでくれるエンジニアを募集中です!

現在募集中の採用情報の詳細は下記をご覧ください。

https://herp.careers/v1/howtv/requisition-groups/dfc2cc4a-edcc-49c0-9d83-b5870b734c04